■ 桶川の家
プロジェクトメンバー
家族構成:夫婦+子供2人(お二人とも女子)
設計:nano Architects / 信濃設計研究所
施工:(株)タナベ建設
写真:新 良太
概要
敷地住所:埼玉県桶川市
敷地特徴:細長敷地 6mx24m
主要用途:住宅+ピアノ教室(店舗併用住宅)
主要構造:木造2階建
延床面積:124.60平方メートル
竣工:2010年1月
素描
奥様が描かれた、お子さん(姉妹)のスケッチです。この絵からイメージが膨らみ、設計が始まりました。 地元に根ざした音楽教室をなさっているご家族のための住宅です。 姉妹のお名前にある「葉」そして「風」の文字が、そのままこの住宅のコンセプトになりました。
音楽で繋がった家族が自然を感じて暮らせる 「素描的空間」
ピアノ教室+住宅 3つの繋がりを考える
敷地の特徴は、幹線道路に面した細長敷地です。敷地東面幹線道路側は、車や人通りが激しいところで、視線や騒音が気になるところです。それに反し、敷地西面は、お寺の広大な庭園の緑を借景に、静かな環境となっています。 隣地南面の住宅は新築したばかりで、平屋建てより若干屋根が高いくらいの高さなので2階には良い住空間を確保できます。 このような敷地条件のなか、次のようなプランにしました。
家族との繋がり
通りの激しい表通りから、一番離れた静かな場所。 そして、隣地の緑が見えて、周囲の景色を楽しめる2階を、家族が集まる場所に選びました。 子ども部屋からダイニング、キッチンまでひと繋がり。 いつも家族の繋がりを感じられる空間です。 2人の子どもが大きくなった時のため、子ども部屋は二つに仕切れるようになっており、天井には個別のロフトも用意しています。 家は、豊かな繋がりを創るための装置だと考えています。
環境との繋がり
西側は、お寺の借景に恵まれ、西日が防げると共に、ここち良い風を取り入れることもできます。
道路側の喧騒とは反対に環境に恵まれた住空間になっています。
この部分2FにLDKと子供室を配置し、連続した空間として利用できるようにしました。
2階ダイニングキッチンの窓は、隣り家の屋根と同じくらいの高さに設定しています。
太陽の光をしっかり取り込みつつ、隣家から家の中を覗かれることはありません。
プライバシーを確保しながら、光を取り込みます。
子供室の西側窓にはお寺の借景、LDK南側の大開口窓からはプライバシーを確保しながら陽光を取り入れることができました。
ここから流れ込む風が、表通りへと、細長い建物の中を縦に通り抜けます。
環境との繋がりを整理すると、空間がぐっと豊になります。
街との繋がり
船の様な形をした家が、遠くからでも道行く人の視線に留ります。
近づくと、光り輝くピアノが目に飛び込んできます。
家の前を通れば、看板がなくとも、そこでピアノ教室が行われていることに誰もが気付きます。
家でありピアノ教室でもあるこの建物は、景観に埋もれず、でも景観を邪魔しない、心地よいバランスが必要でした。
主張と調和を両立すると、街並みが生き生きとしてきます。
The Urbanship in okegawa
埼玉県桶川市、中山道。桶川宿として歴史的な古民家もかろうじて残っている幹線道路。 時代の変遷に翻弄され日々移ろう街並み。様々な用途、様々な時代の建物が混在、雑然とした景色が連続する。
果たしてこの街はどこへ向かってゆくのだろうか?雑然と移ろう街並みは、土地に根ざした建築という概念を忘れさせ、個々の建物は、まるで海に浮かぶ船のように、時に時代という荒波にのみこまれ簡単に姿を消してしまう。 この街並みは、大地に頑強に定着しているはずの建築群が、まるで一時的に係留されているだけの、危うさをともなう移動可能な乗り物のような錯覚に落ちいさせる。
目的地点不明、時代に翻弄される「都市」という海に浮かぶ「住宅」という名の船。さらに混迷を深めていくことであろうこれからの時代、家族を荒波から守り、目標地点に向かい導いてゆく船・・・それがこの住宅です。
設計、そして、工事のストーリー。
16 - 写真撮影 – 引越後 (ピアノ教室+住宅、埼玉県桶川市)
15 - 工事工程11 (足場解体、内部造作工事)
14 - 工事工程10 (雨樋工事、内部造作工事)
13 - 工事工程09 (外壁、内装工事)
12 - 工事工程08 (内装工事)
11 - 工事工程07 (断熱施工、外壁工事)
10 - 工事工程06 (内部造作工事)
09 - 工事工程05 (サッシ取り付け、外壁工事)
08 - 工事工程04 (金物取り付け~屋根工事)
07 - 工事工程03 (土台~建て方完了)
06 - 工事工程02 (ベースコンクリート打設~基礎工事完了)
05 - 工事工程01 (着工~基礎配筋工事)
04 - 地鎮祭
03 - 最終案
02 - 設計終盤
01 - 設計開始・概要
- 2、リノベーション
- 3、コーポラティブ方式(戸建住宅群・集合住宅)
- 4、商業施設・オフィス
- 5、分譲マンション・テラスハウス