「デフォルマシオン」-03 「旧志免鉱業所竪坑櫓」見学-01
ツイート■ 先日、志免の竪坑をみんなで見学に行きました。今回の参加者は7人です。
福岡空港からみんなでバスに乗り、15分程、「志免鉄道公園」で降りると・・・
ありふれた町並みの中、突如現れる謎の構築物!これが志免の竪坑。街並みのスケール感とは異なる異様な大きさ。
この街が他の町とは違うことがわかります。
今からほんの少し前、福岡市内の近隣に炭鉱があり、たくさんの方々が働いていらっしゃいました。
←旧国鉄志免駅跡が公園になっています
↑ 竪坑へ・・・だだっ広い土地に竪坑だけが異色の存在としてこちらを睨んでいます。
国の重要文化財になったということで、どのように整備されたかと思っていましたが
炭鉱跡の殺伐とした風景は削り取られ、周辺はすっかり様変わりし、綺麗に整備されていました。
↑ 空に聳え立つ志免竪坑・・・圧倒的な存在感
炭鉱の敷地内は炭鉱跡の痕跡が削り取られ、まっ平らな砂敷きの広場になっていました。
↑ 型枠の跡の残る荒々しいコンクリート、その壁に穿たれた規則的に配列している正方形の開口、
張り出した量塊を支える4本の斜材、雨の跡と、風化するコンクリート、かろうじて付いている雨樋・・・
RCのフレームから飛び出した上部のコンクリートの塊が、この構築物を単なる構築物から巨大彫刻の領域に引き上げています。
このコンクリートの張り出し部分は、機能的にどのような意味があるのか、設計者は何を考えデザインしたのか・・・、そのへんの記述は資料にはありませんでした。
↑ 国指定重要文化財+近代遺産として整備された後、貴重な価値ある炭鉱としての痕跡を削り取ってしまったため、志免竪坑はオブジェと化してしまいました。
当時の痕跡を残した炭鉱敷地に建っているがゆえに、この竪坑が生きてくるのですが、貴重な遺産を削り取って更地にしてしまいました。敷地一体の保存が竪坑と同様、貴重な価値があるのですが残念です。
せっかくの産業遺産が魅力半減、建物としてはなんとか残せましたが、「炭鉱遺産」としてのチャンスを逃してしまいました。
文化財指定、近代遺産指定などの指定範囲と、周辺地域、敷地を含めた保存形態を考えなおす必要があるようです。
↑ 国指定重要文化財指定(平成21年文部科学省)、近代化産業遺産(平成19年度経済産業省)
↑ 福岡県指定史跡(平成22年)
↑ 第八坑連卸坑口(だいはちこうつれおろしこうぐち)
かろうじて残されていた。
↑ ボタ山は緑に覆われていた。
↑ 今回の参加者
廃墟的な建物を見学に行きたいという希望がみなさんから出たので、近場で大変価値の高い志免の竪坑を見学することにしました。平成生まれの20代前半のみなさんにとっても、大変魅力的な建物であったようで、イメージを掻き立てられていたようです。
志免の竪坑はCMなどにも使われていますが、福岡の方々にはあまり知られておらず勿体無い状態です。特に感性豊かな若い人達には、ぜひ見てもらいたい産業遺産です。