「海の神兵」を知っていますか?<asahi.com 小原篤さんのコラムより
ツイート■ 「桃太郎 海の神兵」(1945年公開の長編アニメ)の瀬尾光世監督が亡くなったことがわかりました。ご存命なら今年100歳を迎えるはずでした・・・とのこと。
「海の神兵」は海軍省の依頼で松竹動画研究所が製作した、当時の日本アニメとしては破格の74分という史上最長の超大作。作画、撮影、録音など技術の粋を 集め、応召や徴用でスタッフが次々と欠けていく中ようやく完成するも、公開は戦争末期の45年4月。都市は空襲、子どもたちは疎開、映画を見るどころじゃ ない世の中で、16歳の手塚治虫さんが「日本でもこんな見事な作品が作れるようになったのか」と焼け跡の映画館で感涙感激し、アニメ作りを志すきっかけと なったという逸話を残す作品です。まさに「そのときアニメ史が動いた」と言ってもいいのではないでしょうか。
公開が戦争末期45年4月・・・このような時に、このような傑作を作ったとは、とても信じられません。
敗戦が決定的な中で、手塚治虫さんが日本人の未来を信じ、マンガ・アニメを志すきっかけとなったという逸話もうなずけます。
後世に残る優れた作品は、社会の関係性の中で生まれてきます。