「音を奏でることを主目的とした作品づくり」つまり「楽器」をつくる
ツイート■ 新しいもの全てが出し尽くされ、無限と思われた欲望が希釈されていく成熟社会において、いかに新鮮味があり、創作感覚を刺激する課題を出すことができるのか?
BGMは、鈴木くんに借りた”荒川修作DVD”。 ”養老天命反転地”の訳の分からない説明が続く。最初はDVDということで見る姿勢を示していた学生諸君も数分で誰も見なくなる(笑)
課題は「音を奏でることを主目的とした作品づくり」つまり「楽器」をつくること。きっかけは同士であるサブカル管理人九州代表を通して作品にふれあうことができた”廃材楽器”。単に”廃材”で作品をつくるといった時、すでにあらゆる表現が出尽くされた(と思われる)成熟期をむかえた今の日本では、いくらイメージを膨らませようとしても”予定調和世界”に落ち込んでしまい、苦労の割には何かどこかで見たようなありふれたもの(と感じてしまうもの)しか考えつきません。その底なし沼のような”予定調和世界”から抜け出してくれたのが”廃材楽器”でした。そう、”楽器”という魔法の言葉を一言聞いただけで、思考世界にまったく抜け落ちていた「音を奏でることを主目的とした世界」に入り込むことができたのです。その造形は思いもよらないものばかり。私の中の”予定調和世界”は砕け散り、視野が一気に広がりました。
成熟社会において、新鮮味のある創作感覚を得るにはどうしたらよいのか、それが別世界に飛び込むこと、つまり、「楽器」という魔法をかけることでした。初めて入り込む”楽器”の世界、そこは予定調和が薄れた評価不能の未知の世界、そう、建築専門的評価不能の”養老天命反転地”に入り込んだような世界が広がっていました。
生徒諸君に”楽器”という魔法をかけたときにいったいどんな世界が現れるのか興味津々。
■ これらは一体何なのか?
↑ これは楽器だ。あきらかに楽器。きれいな音が出る程度まで、弦の引張力をどう維持し、調整できるようにするのか?
作者はその点でうまくいかないと語っていた・・・改良だ!
↑ 輪ゴムは指で弾いても音がなりますね。四角い枠をダンボールで作り、切込みを入れて輪ゴムを取り付けた作品。
造形的配慮がみうけられますね。
↑ ダンボールに切込みを入れて丸め、輪ゴムを取り付けたもの。ダンボールの切込みを丸めることで音を出やすくしていますね。
↑ 評価不能作品。”ジオフロントのエヴァたち”(命名わたし)
↑ ストローを使って作った笛。想像通りの音が出ました。
↑ ダンボールを、巻いて、ひしゃげて、剥いで、輪ゴムでまいたもの、複数の音をかなでることを意図している。
↑ ダンボールの中には”粒”が入れてあり、振ると音がでる。円弧状のダンボールのなみなみをこすると音が出ますね。
太鼓としてもいけます。
↑ 紐をねじって間に棒を差し込んでダンボールの両端でとめたもの。音階がしっかりしており、チューリップの演奏ができました。
今回の作品で唯一曲を演奏できた作品。
↑ 三部作。丸、四角、三角をモチーフに作られてますね。黄色と緑のテープがはられています。これがはられているだけでイメージが変わりますね。中に”粒”が入れてあり、この色のような音がでます。作者の個性が垣間見れます。
↑ 意図がひしひしと伝わってきますね。構想通りとはいかず、製作に苦労していました。
↑ 何かをしたいと、ずうううっと悩んでいたのだが・・・しかし、これも楽器。
↑ 釘をぶら下げて、手で揺さぶったり、風などの外力で釘同士が当たって音が出る作品。細かいところまでデコレートして自分の世界観を表現していますね。部屋のオブジェとしてもいけそうです。
■ 番外編