リノベーション現象とは、日本の居住空間のポップカルチャー化現象である。

5月 23rd, 2012

■ 昭和元年(1926年)、RC造・耐震・不燃化”同潤会アパート”から始まった日本の都市型近代集合住宅・・・21世紀初頭、個人が服を選ぶように、住む部屋を自分の感性にあったデザインで選ぶ ”リノベーション時代”が到来。

日本の居住空間は戦後約60年を経て、やっとポップ・カルチャー化(大衆化)が始まりました。今世紀に入り瞬く間に広まった”リノベーション現象”がその一つです。

衣服→アクセサリー→小物・雑貨→イス→家具→そして、やっと、インテリアまで日本人の個人領域が拡大しています。いまや、住む部屋のデザインが、自己表現として重要な時代です。インテリアも個人を基準とした感性領域となったのです。

■ リノベーションに携わって実感したことは、リノベーションが浸透し大衆化していく過程とは、今まで支配的だった堅固なヒエラルキーが崩れていく過程なのだということです。例えば”nLDK問題”などという建築専門家がなんやかんやいいながら繰り返し提案してきたものなど、ポップ・カルチャー(=ファッション)にかかってしまえば、問題そのものが無効化してしまい、いとも簡単にとんでもない空間が実現してしまいます。
リノベーション浸透過程で、煩雑・多様な大衆文化(ポップ・カルチャー)による社会規範崩壊現象をまのあたりにし、これがつまりポストモダン社会なのだと実感しました。(”後期モダン”・”アフターモダン”どれが適切な表現なのかよくかわかりませんが)”専門家のデザイン+職人の技”も、学生諸君のデザインも、リノベ好きのセルフリノベーションも、どれも選択肢の一つに過ぎず、入居者個人の感性領域に響くか、響かないか、それしかない世界になってしまったのです。(新築神話もそれほど機能しなくなっています)

下図:リノベーション時代のフラット化した居住空間概念図
X:デザイン理念・感性軸(かわいい・かっこいい時代は理念・理論もファッションアイテムの一つに過ぎない)
Y:個人領域の社会軸(社会的客観的地位と自己中心的満足と優劣はない)
Z:技術的表現軸(技術でさえ上手ければ良いというわけではなく、DIY的ぶっつけディティール・表現を望む人も多い)
デザイン性、社会性はフラット化、同一平面状に位置し優劣化できない。
個人領域の感性・価値が大きいか小さいかが重要な世界(風船が大きいか、小さいかだけ)
全体の空気は”かわいい・かっこいい”が支配している。

 


 
 
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山王ロッヂ – 02 : ワークショップ開催

3月 12th, 2012

■3月10日、”山王マンション”の1Fで”山王ロッヂ:ワークショップ”が開催されました。
私も、プロジェクトの概要・基本計画について発表させて頂きました。

20~30数年後の2050年を想像し、これからの社会の方向性を模索している今、ストック時代の日本において、有り余るであろう建物の床をどのように活用していくのかについて考え、ケーススタディとして”山王マンション”1Fオフィス空間に”ロッヂ”を置いて、集住してゆくには、どのようなソフトデザインが考えられるかを意見交換するワークショップ。


↑ 会場:”山王マンション”1Fオフィススペース。手前に”屋台”。奥にプロジェクタ。その奥に”ロッヂ”フレームが展示。
参加者は、福岡大学の学生さんが多数をしめ、社会人の方々が数名。


↑ 基本フレーム:3寸角の杉材、2400x2400x2400、4’x8’板2枚で囲うことのできるキューブ型のロッヂと1800x2400のテラスで構成される。フレームの下にはキャスタ-が取り付けられ移動できるようにすることも検討中。
この”ロッヂ”をこのオフィススペースに6個置いて”集住”する。果たしてどのような最終型になるのでしょうか・・・


↑ ワークショップ開催。吉原代表による趣旨説明       ↑ 私:これまでの経緯・意義・概要・基本計画についての説明


↑ 具体的な利用例=ソフトデザイン提示。牛島さんと福岡大学の相良さんによるプレゼ。
どちらも魅力的な利用例=ソフトデザインで、この後の”屋台”を囲んでのワークショップにつながる流れを作って頂きました。


↑ 屋台を囲んでみんなで自分の考えを述べ、他の方々の意見を聞き、アイデア、疑問点、問題点などを出しあいました。
多数参加していただきました福岡大学の学生のみなさんが、若い世代ならではの多様なアイデアを述べ合い、
社会人の方々が、実社会に照らした意見を述べていただき、実り多いワークショップとなりました。

これから、数回このようなワークショップを行う予定です。
果たしてどのような変化、発展、を遂げ、実行案に収束していくのでしょうか?

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”山王ロッヂ”-山王マンション101プロジェクト
場所:”山王マンション”:福岡市博多区博多駅南4-19-5、1Fオフィス空間・約200平米
主催:スペースRデザイン:http://www.space-r.net/
基本計画・システム:nano Architects

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山王ロッヂワークショップ

3月 8th, 2012

3月10日:土曜日
16:00〜18:00

”山王マンション”, 福岡市博多区博多駅南4-19-5

これまで多くの部屋でリノベーションを行ってきた山王マンションの1階で、新しいプロジェクトがスタートします。
http://www.space-r.net/rent/sannou

コンクリートうちっぱなしのワンフロア約200㎡を『まち』として、 室内に独立したキューブ型の個室空間をいくつか並べるという新しい取り組み。
そのキューブは自由に改装可というもので、個性の詰まった家が集まり、ただのひろいマンションの一室がいつしか小さな『まち』になっていきます。

その中で、暮らすのか?働くのか?どんな人と暮らすのか?何を置くのか?どんなキューブをつくるのか?本当に自分でキューブをつくりたいか?など、今回は本格スタート前のプレイベントなので、プロジェクトの根幹から一緒にお話しをすることとなります。

形式はざっくばらんなワークショップ形式です。共有空間に見立てた屋台を囲んで、一緒にイメージをしてみませんか。
webページ:http://www.space-r.net/sannoulodge/

◆詳細
参加費:無料

15:30 受付開始 (@山王マンション1階)
※車でご来場の場合、駐車場がないので近隣のコインパーキングにお願いします。
16:00 開始 趣旨説明
16:15 山王マンション、山王ロッヂについて概要説明
16:30 キューブ紹介
16:45 屋台を囲んでws
18:00 終了

参加ご希望の方は、私までご一報ください。

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Y邸-リノベーション工事-15:「放射冷暖房システム」

2月 18th, 2012

■ 今回のリノベーションでは、冷房と暖房にピーエス工業の「放射冷暖房システム」を導入しました。

昔の多くのRC造マンションは、断熱材が施工されていませんでした。
断熱がないことで、冷暖房効率の悪さ、慢性的な結露の発生によるカビ発生など、住環境にとして大きな問題が発生しています。そこで、今回のマンションリノベーションでは、居住空間の良好な温熱環境を実現するために、次のような断熱対策をとったうえでピーエス工業の「放射冷暖房システム」を導入しました

1,断熱材として”ウレタンフォーム”厚さ30mmを吹付け
2,複層ガラスの”内窓”の設置・断熱玄関ドアに交換
3,”珪藻土”を室内壁に施工-調湿作用・空気浄化作用
4,冷房と暖房に、ピーエス工業の「放射冷暖房システム」(以下、PS冷暖房機)を利用

■ ピーエス工業の「放射冷暖房システム」を利用するためには、建物自体の断熱性能とセットで考える必要があります。
断熱性能としては”次世代省エネ基準”を満たしていれば、PS冷暖房機は充分な性能を発揮しますので、上記のような断熱対策を行ったわけです。

■ 3F
3F:LDK用
この室内機の中を、暖房時は温水、冷房時は冷水が循環し、輻射冷暖房装置として部屋の環境を整えます。

↓ 3F:子供室用
子供室はLDKより小さいのでこのサイズの室内機になっています。
姉妹の部屋で中央に間仕切りを兼ねて設置しました。

■ 4F
4F寝室用
介護用に計画していますので、浴室・トイレと居室の温度差が出ないように全体を冷暖房しています。

4F:LDK用
建具の引戸の引き込み部分を利用して設置

お客様の引越しが終わり、住み始めて数週間立ちました。
お話によれば、今年の冬は例年になく寒い日が続いておりますが、当初のシュミレーションどおり、快適な温熱環境を保っているとのことです。

>>完成までのストーリー
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>>15 – 「放射冷暖房システム」
>>14 – タイル工事
>>13 – キッチン取付
>>12 – 螺旋階段取付
>>11 – アルミサッシカバー工法
>>10 – 珪藻土塗り
>>09 – ユニットバス設置
>>08 – 軽鉄下地+ボード張り
>>07 – 断熱工事・ウレタン吹付
>>06 – 間仕切り壁
>>05 – RC壁 – 開口補強
>>04 – 設備配管工事2
>>03 – 設備配管工事
>>02 – 解体
>>01 – 引越し
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マンションのリノベーション
場所:福岡市
工期:2011年9月末~2012年01月末
施工:スペースRデザイン
設計:nano Architects/信濃設計研究所
キッチン:リブレ株式会社
鉄骨階段:(株)稲沢鐵工
珪藻土:日本ダイヤコム工業株式会社・MGボーダー
放射冷暖房システム:ピーエス株式会社
無垢フローリング・皇杉:GAIN(ゲイン)
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ユニットバス
TOTO:マンション用RZシリーズ-1416サイズ
介護用ユニットバス
Panasonic:アクアハートKシリーズ-1620サイズ
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Y邸-リノベーション工事-14:タイル工事

2月 8th, 2012

■ Y邸マンションリノベーション:タイル工事です。

タイルはデザイン的に大変難しい面が多々あります。
タイルの大きさが規格で決まっており、現場に合わせて規格のタイルを貼るしかありません。
当初の設計と、現場の状況が異なる場合が多々あり、設計段階のタイル割りでは現場が納まらなくなることが多いのです。
大工工事の時点で、どのようにタイル割りをしていくのかを決めて大工さんに施工する位置を決めてもらわないとあとで、半端なタイルが多く出てしまう状態になってしまいます。
「タイル割りは、大工工事の墨出し時に検討する」ことが重要ですね。


↑ 現場でタイル工事職人さんに墨を出してもらいタイル割りを決めてゆく。
今回は一部大工さんに工事をやりなおして頂きました。

↑ 曲面の上がり框:杉板を無理をいって曲げ加工して頂きました。
小さいタイルがなるべく出ないように、上がり框の位置を決めています。
うまくタイルが納まりました。


↑ 介護対応を考え、タイル部分を大きくし、移動できるスノコを引いて、介護状況の変化に応じた事後対応がいろいろできるようにしました。
例えば、スロープにしたいとか、スノコの位置や大きさ、高さを変えたいといった場合に、スノコを取り替えれば対応が可能です。

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マンションのリノベーション
場所:福岡市
工期:2011年9月末~2012年01月末
施工:スペースRデザイン
設計:nano Architects/信濃設計研究所
キッチン:リブレ株式会社
鉄骨階段:(株)稲沢鐵工
珪藻土:日本ダイヤコム工業株式会社・MGボーダー
放射冷暖房システム:ピーエス株式会社
無垢フローリング・皇杉:GAIN(ゲイン)
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Y邸-リノベーション工事-13:キッチン取付

1月 29th, 2012

■ Y邸マンションリノベーション:キッチン取付です。

○ マンションのリノベーションの場合、RC(鉄筋コンクリート)の梁が、外壁まわりにある場合がほとんどです。
現在ではRC梁にはスリーブという排気用の穴が事前に設置されています。しかし、古いマンションでは、梁にスリーブが開いていることが少なく、梁の下の壁に30cm角の普通のプロペラファンが付いていることが多く、このマンションでもそのような状況でした。
建物を建てた後にRC梁にスリーブをあけることは建物の構造的に問題がありますのでやりません。また、今回のリノベーションの場合キッチンの位置を、既存の位置から移動したために、既存の換気扇の穴も利用できません。そこで、既存の引違いアルミサッシをカバー工法で新たなアルミサッシを取り付けることにしました。そして、室内側に新しく壁ができるところはパネル、バルコニーに出入り口が欲しいところに勝手口ドアを取り付けています。

↓ 引違い窓があった場所にカバー工法で新しいアルミサッシを取付

内側が壁になるところはパネルを取付け、バルコニー出入り口用に勝手口ドアを取り付けました。


↑ 室内側から見たところ。中央のパネルの穴が、キッチンフード排気ダクト取付用の穴


↑ キッチンフード用のダクトを取付。室内側の壁にはキッチンパネルが取り付けられています。

↑ ダイニング側の収納取付

←吊戸棚の取付。梁に合わせてオーダー。


↑ もう一台のキッチン取付

 
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マンションのリノベーション
場所:福岡市
工期:2011年9月末~2012年01月末
施工:スペースRデザイン
設計:nano Architects/信濃設計研究所
キッチン:リブレ株式会社
鉄骨階段:(株)稲沢鐵工
珪藻土:日本ダイヤコム工業株式会社・MGボーダー
放射冷暖房システム:ピーエス株式会社
無垢フローリング・皇杉:GAIN(ゲイン)
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Y邸-リノベーション工事-12:螺旋階段取付

1月 16th, 2012

■既存の建物に螺旋階段を取り付ける場合、様々な検討が必要です。

・ 階段を支える建物の構造上の問題がないか
・ 螺旋階段をどのように現場に搬入するのか
・ 現場溶接をなしにできるか
・ 組立方式の螺旋階段でボルトを表面に出さない構造にできるのか
・ 繊細なデザインでありながら、強度が保てるのか
さらに、本計画では、将来的に3層ある階段を2層に変更することもできるように検討しています。


↑ 3層のたて穴。構造的検討をした上で鉄筋コンクリートの床に穴を開ている。


↑ 支柱を支える土台部分の施工。
鉄骨材を両端が建物本体のRC梁の上にのるように渡しその上に支柱を設置。
螺旋階段の重量を建物本体のRC梁でうけるようにしています。


↑ 最も重たい支柱を設置。すべて人力で行う。


↑ 支柱を建て、床の一部と連結。まずは各階のスラブ部分に設置した鉄骨と連結させる。
← RCスラブと支柱を取付け。この部分が階段踊り場となる。


↑ 鉄の段板も全て部品として持ち込みボルトで支柱に取り付ける。
ボルトが見えないように段板の内側で取付けられるようにしている。
手摺も部品として持ち込み表面から見えないようにボルトで取付け。


↑ 螺旋階段、支柱、踊り場、段板、手摺が取付完了
 
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マンションのリノベーション
場所:福岡市
工期:2011年9月末~2012年01月末
施工:スペースRデザイン
設計:nano Architects/信濃設計研究所
キッチン:リブレ株式会社
鉄骨階段:(株)稲沢鐵工
珪藻土:日本ダイヤコム工業株式会社・MGボーダー
放射冷暖房システム:ピーエス株式会社
無垢フローリング・皇杉:GAIN(ゲイン)
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Y邸-リノベーション工事-11:アルミサッシカバー工法

1月 13th, 2012

■マンションのリノベーションで問題点として、「窓」があります。

間取りを変更した時、アルミサッシ窓の部分を壁にしなければならない場合があります。
その時、一部は開閉できる窓、他の部分は壁などというように、新たな間取りに最適な大きさ・形式で新しい窓を取り付けたいところです。
しかし、既存のアルミサッシを取り外すとき、コンクリートに取り付けてある枠を取り外してしまうと、工事が大変である、アルミサッシとコンクリートの取り付け部分の雨仕舞いがよくない、などといった問題が残ります。
そこで、既存のアルミサッシの「枠」は残し、その「枠」の上に新しいアルミサッシをカバーするように取り付ける工法「カバー工法」を採用しました。

←もともとの引違い窓。左側の引違い窓を「カバー工法」で新しい窓に変更


↑ 施工後。左側の引き違い窓を、勝手口ドア(左)とアルミパネル(右)に変更しました。
(右側の引違い窓は現況のまま)


↑ 外部から見たところ。青色のテープが貼られている部分がカバー工法で新しく取り付けたアルミサッシ。
勝手口ドアとアルミパネルの間には方立があり強度は保たれています。内部が壁になる部分はアルミパネルにしています。


↑ 外部アルミパネル部分の内側に内装の壁を取付。
アルミパネルに丸い穴があった部分には、キッチンフードの排気管が取り付けられました。


↑ キッチンが取り付け後。勝手口ドアがキッチン内にあります。ゴミ出しなどに利用。
キッチンフード部分もきれいに納まっています。

■ 4Fアルミサッシカバー工法

 → 
↑ カバー工法のアルミサッシ   ↑ 新しく取り付けられたアルミサッシ内側はトイレになります。

 → 
既存躯体が歪んでいる時には、削らないと設置できない場合があります。
 
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施工:スペースRデザイン
設計:nano Architects/信濃設計研究所
キッチン:リブレ株式会社
鉄骨階段:(株)稲沢鐵工
珪藻土:日本ダイヤコム工業株式会社・MGボーダー
放射冷暖房システム:ピーエス株式会社
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