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12月 2nd, 2013

■ 時代の機械

時代表現の一つとして、機械があります。機械の第一の目的は”機能”ですのでライバル機種がある場合、”機能”により優劣が決まることが多いため、常にバージョンアップを宿命づけられています。バージョンアップすると、旧型は作られなくなり、利用者も減少、廃れていきます。また、機械はメンテナンスが必ず必要になりますので、バックアップ体制がなくなると、その機械の維持はできなくなってしまいます。大きな変化で技術革新や文化が変わってしまえば、今まで必要だった機能自体が必要なくなり、機械も必要性が消失してしまいます。
このような”必要”な”機能”最優先で作られている機械ですが、機能第一とはいえ、機械は人が作るものであるので必ず”イメージ”が表れます。人は時代・社会の中で生きていますので、作られた時代の嗜好性なども表れることが多々あります。同機能の機械を年代別に並べてみるとわかるのですが、確かに時代の雰囲気や嗜好性そして個性があることがわかります。同じ機能の製品を作ったとしても、作る人が異なると完成品も必ず異なるものになります。そして、機能に差がなくなってくると、”機能”から”イメージ”へと評価の比重が移ってきます。


↑ 昔の映写機のランプハウスとのこと。

○映写機
この映写機は、映画を上映するために作られた”機械”ですが、”イメージ”が喚起される雰囲気を持っています。それは、当時の映画文化を支えた機械の技術力、デザインの嗜好性、素材感、作者の個性などと、当時の活況を呈していた映画館の姿や当時上映されていた映画などの時代背景が重なり、見る者に訴えかけてくるからに違いありません。
機械は単なる”機能”以上の価値を持つことがあります。映写機のように技術変革により必要なくなった機械は、無用の長物でガラクタと表現されることもありますが、そこにはアート作品のような造形美と、当時の技術を教えてくれる教材的部分、映画を楽しませてくれた感謝の気持ちなど、何か訴えてくるものを感じてしまいます。


↑ 日立のエレベーター

○エレベーター
エレベーターも、結構長く利用される機械の一つです。40年以上利用されているエレベーターも多いのではないでしょうか?皿ネジでブッキラボウに取り付けられた荒く鈍い光沢のアルミ素材でできたプレート、彫り込み丸フォント文字にインクを流し込んで表示したプラスチック製のボタン、これらが当時の技術、機械的デザイン嗜好でした。エレベーターが珍しかった時代のアナログ機械の味のあるデザインです。(今のデザイン嗜好は”液晶+タッチパネル”ですね)

つづく・・・

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『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』:http://yasuko-n.wix.com/rojisummitbeppu
メイン会場:”別府 ブルーバード”:http://www.beppu-bluebird.info/

 

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