路地歩き>別府-05>”別府 ブルーバード”-05

12月 2nd, 2013

■ 時代の機械

時代表現の一つとして、機械があります。機械の第一の目的は”機能”ですのでライバル機種がある場合、”機能”により優劣が決まることが多いため、常にバージョンアップを宿命づけられています。バージョンアップすると、旧型は作られなくなり、利用者も減少、廃れていきます。また、機械はメンテナンスが必ず必要になりますので、バックアップ体制がなくなると、その機械の維持はできなくなってしまいます。大きな変化で技術革新や文化が変わってしまえば、今まで必要だった機能自体が必要なくなり、機械も必要性が消失してしまいます。
このような”必要”な”機能”最優先で作られている機械ですが、機能第一とはいえ、機械は人が作るものであるので必ず”イメージ”が表れます。人は時代・社会の中で生きていますので、作られた時代の嗜好性なども表れることが多々あります。同機能の機械を年代別に並べてみるとわかるのですが、確かに時代の雰囲気や嗜好性そして個性があることがわかります。同じ機能の製品を作ったとしても、作る人が異なると完成品も必ず異なるものになります。そして、機能に差がなくなってくると、”機能”から”イメージ”へと評価の比重が移ってきます。


↑ 昔の映写機のランプハウスとのこと。

○映写機
この映写機は、映画を上映するために作られた”機械”ですが、”イメージ”が喚起される雰囲気を持っています。それは、当時の映画文化を支えた機械の技術力、デザインの嗜好性、素材感、作者の個性などと、当時の活況を呈していた映画館の姿や当時上映されていた映画などの時代背景が重なり、見る者に訴えかけてくるからに違いありません。
機械は単なる”機能”以上の価値を持つことがあります。映写機のように技術変革により必要なくなった機械は、無用の長物でガラクタと表現されることもありますが、そこにはアート作品のような造形美と、当時の技術を教えてくれる教材的部分、映画を楽しませてくれた感謝の気持ちなど、何か訴えてくるものを感じてしまいます。


↑ 日立のエレベーター

○エレベーター
エレベーターも、結構長く利用される機械の一つです。40年以上利用されているエレベーターも多いのではないでしょうか?皿ネジでブッキラボウに取り付けられた荒く鈍い光沢のアルミ素材でできたプレート、彫り込み丸フォント文字にインクを流し込んで表示したプラスチック製のボタン、これらが当時の技術、機械的デザイン嗜好でした。エレベーターが珍しかった時代のアナログ機械の味のあるデザインです。(今のデザイン嗜好は”液晶+タッチパネル”ですね)

つづく・・・

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『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』:http://yasuko-n.wix.com/rojisummitbeppu
メイン会場:”別府 ブルーバード”:http://www.beppu-bluebird.info/

 

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路地歩き>別府-04>”別府 ブルーバード”-04

11月 13th, 2013

先日『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』が行われ、別府の路地を歩きまわってきました。
メイン会場は”別府ブルーバード”。戦後、昭和の経済成長期に建てられた典型的なRC建築です。

■ 時代の色


時代表現の中で、”色”は時代を表す要素として大きな役割を担っています。
この劇場の壁と天井の”鈍い水色”は、独特の質感とともに、時が流れ一時代が終わったことを如実に物語っています。
建設当時の空調機器は既に機能せず、壁に壁掛け式のエアコンが3台デカデカと取り付いています。その間には、現在の映画の音響効果になんとか対応しようというのかスピーカーが複数設置されています。
舞台のカーテンは定番の色であるあずき色、両側天井部のむき出しの照明、音響効果のために凹凸が付けられた壁、古さがにじみ出ている座席・・・
かつて、連日満席だったこの劇場は、今では古臭く老朽化していますが、一時代前の時代表現を残した希少価値のある訴えてくる空間として魅力的です。

 

つづく・・・

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『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』:http://yasuko-n.wix.com/rojisummitbeppu
メイン会場:”別府 ブルーバード”:http://www.beppu-bluebird.info/

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路地歩き>別府-02>”別府 ブルーバード”-02

10月 26th, 2013

先日『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』が行われ、別府の路地を歩きまわってきました。
メイン会場は”別府ブルーバード”。戦後、昭和の経済成長期に建てられた典型的なRC建築です。

劇場のエントランスは重要です。これから始まる公演にむけて、心の準備をしていく空間だからです。映画が国民的娯楽だった時代にできたこの”別府ブルーバード”。このエントランスにはチケット購入のため、多くの人々が心を高揚させ、上映開始時間を気にしながら並んでいたことでしょう。

右 奥に向かって上へと昇ってゆく階段は、劇場へと向かう気分を高めてくれます。時代表現である”赤”が印象的なカーペットがいまだに残されています。天井も当時の”豪華表現”である鏡面天井材が使われています。ここを通る人々の姿が天井に映り込み人々の動きが印象に残るようになっています。
映画好きにはたまらない”ポスター”が、ここかしこに貼ってあり壁面を埋めています。映画好きに劇場の存在感を訴え、寂しげなエントランスをできるだけ賑やかにしようという意図が見られます。かつては人々で賑わっていっていたであろう窓口は、使われている痕跡も少なく寂しいですが、いまでは逆に哀愁をさそい雰囲気を醸し出しています。
年代物の”いらしゃいませ”の看板や、昔良く見かけた”スピーカー”、セロテープで貼った”チラシ”、手書きの日程案内・・・など、手作り感が満載で”映画”に対する気持ちが表れていますね。


お客様を出迎える”いらっしゃいませ”のサイン。両端の”花”、フォント、背景の色が”時代”を表現しています。


フェイスブックページも完備

つづく・・・

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『織田作之助生誕100年記念・全国路地サミット2013 in べっぷ温泉』:http://yasuko-n.wix.com/rojisummitbeppu
メイン会場:”別府 ブルーバード”:http://www.beppu-bluebird.info/

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