1月 9th, 2013
■ 前回、[長崎県松浦市-03:昭和モダニズムRC集合住宅]で、存在感あふれる昭和モダニズム経年物件のご紹介をしました。その最後の一文に『まだ利用されているこの近代ビルヂング、まだまだ利用できそうです。化粧直しだけでもすれば、一気に若返えるのですが・・・』と書きました。
→ ということで、今回、建設当時から数年を経て、ちょっと汚れがついてきたぐらいの、若かりし頃の姿を再現してみました。
↑ 若かりし頃のビル。この街に、新しい時代の到来を告げる、モダニズム精神の象徴となっていたにちがいない。
↑ 現在の状況。異様なる存在感溢れる昭和モダニズム建築。集合住宅としてまだ生きています。
建設当時とくらべ、周囲に与える影響の方向性が変化している。
■ビルストック時代を迎えまだ日の浅い日本では、ビルの再生は幾つものハードルが立ちふさがり困難を極めています。
はたして、どのように経年物件の建築たちを有効に活用していけば良いのでしょうか?
この写真のように身近な建物を化粧しなおしてみる。これだけでも建物が周囲にあたえる影響は変わってきます。
個人、団体等の所有物であり、他の個人・団体が、とやかくいう権利はあまり認められていませんが、周囲にあたえる影響は大きいので、時代の流れとしては、あまりにもノイズを発するものは、ある程度の介入が許されるように動いてきています。(特に廃墟やゴミ屋敷などの外部不経済物件)
また、建物単体で勝手に考えるのではなく、その周辺の価値、点から面的価値の確保が求めれられる時代にもなっています。建物とその周辺、点から面へとイメージを拡大させることがストック時代には必要になってきます。
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長崎県松浦市-04:昭和モダニズムRC集合住宅-再生A
長崎県松浦市-03:昭和モダニズムRC集合住宅
長崎県松浦市-02:「ARIGATO」
長崎県松浦市-01:「西肥バス・松浦ターミナル」
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タグ: RC, マンション, 昭和モダニズム, 松浦市, 集合住宅
12月 27th, 2012
■ 異様な存在感がある建物でした。これが、鉄筋コンクリート造の昭和モダニズム建築の、経年劣化的魅力なんでしょう。
汚れた壁面、錆びたスチールの手摺、外部花台窓に置かれたむき出しの室外機と配管、そしてアンテナ、いろんな所からひっぱられ複雑に絡み合う電線と道路の向かい側から伸びる電話線、かつての店舗がそのまま残りガチャガチャな1階テナント部分。割られたままの階段室スチール嵌殺し窓のガラス。
かつてこの建物が、日本家屋の建ち並ぶ街並みに唐突現れた、この街で最もモダンでおしゃれな憧れのビルだったといっても信じてもらえないのも納得できるほどの劣化状態です。しかし、このノイズともいってもいい異様な存在感に多くの若者たちが引きつけられています。まだ価値はありそうだ。
↑ 耐震・不燃化した初期の昭和モダニズムRC集合住宅では、バルコニーはなく、植木鉢程度が置ける窓の外に飛び出した手摺付きの花台窓が取り付けられることが多かった。
↑ 道路側の壁面より、明らかに異なる真っ黒な側面壁が異様さを増幅しています。
わざわざ道路の向かい側から引き込んでいるのは、なんの配線なんだろうかと思っていましたが、どうも電話線のようです。
まだ利用されているこの近代ビルヂング、まだまだ利用できそうです。化粧直しだけでもすれば、一気に若返えるのですが・・・
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長崎県松浦市-04:昭和モダニズムRC集合住宅-再生A
長崎県松浦市-03:昭和モダニズムRC集合住宅
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12月 10th, 2012
・概要
この、今では古民家の木造2階建て住宅が建てられたのは、昭和40から50年代くらいだろうか?(それとも、戦後まもない時期なのか?)外壁が下見板張り+押縁、瓦屋根の日本の標準的、典型的な住宅。
・外回り
外壁の一部が真新しい無塗装の杉板にとって変わっているのだが、黒光りする元の外壁とあまりにも色が違うので、つぎはぎ補修というのがはっきり認識できる状態。瓦屋根も補修されているようで、まだ新しい。軒天や板張り以外の外壁部分を見ると外回りはきちっと補修されている。
・変様体
そして、この古民家がスナックへ変様。
正面、強烈に迫ってくる看板「ARIGATO」! ペンキで塗られた文字が年月を経て、かすれて良い感じになっている。これはたぶん窓があったところに窓を覆いかぶせるように取り付けたのだろう。同行した方が、港に着いた外人さんたち目当ての店名ではないか?とおっしゃっていました。(たしかに、真相はいかに)これを見ると室内がどうなっているのか見たくなるところ。
1F左側、シャッターが閉まっている上に「ARIGATO」の小看板。もしかすると、シャッターを開けると階段になっており、2Fがお店になっているのかもしれない。(それとも、1Fをスナック「ふみ」と分け合っているのか?)
・生き残る建物
木造2階建ての古い建物を、自分のお店の商売繁盛のために、いきあたりばったり的に改造し、なんとか利用している風景は、日常どこにでもある標準的な風景となっている。ガチャガチャな街並みの多くはこれが原因となっている。今考えれば均整のとれた調和ある町並みだったのが、昭和モダン的看板文化が入ってきて、個人商店がなんやかんやファサードを自分勝手にいじりだした結果である。
街並み景観を考えると果たしてこれがアリなのか、ナシなのか、意見は別れるところであるが、人口減少の今となっては、空き家となるよりはどんな状態であろうとも、建物を使い続けるほうが良いように思う。建物本体がしっかりしていれば、また別の用途にも活用できる日が来るかもしれない。また、このように、ノイズを発する付属物も、ワンダー的視点で見れば、味のある風景として鑑賞することも可能だ。
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長崎県松浦市-04:昭和モダニズムRC集合住宅-再生A
長崎県松浦市-03:昭和モダニズムRC集合住宅
長崎県松浦市-02:「ARIGATO」
長崎県松浦市-01:「西肥バス・松浦ターミナル」
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12月 4th, 2012
いい具合に熟成されています。かつて開放的なガラス張りのサッシがついていた1Fバス待合室が今はラワンベニヤで無造作に塞がれています。かつてこの待合室からバスに乗ってお出かけしたことを覚えている方々にとっては寂しい風景なことでしょう。なぜか荒々しい当時のRCビルにはこの無造作なラワンベニヤが似合います。
熟成された「昭和モダニズム建築」の見所
1,RC造(鉄筋コンクリート造)+骨太な構造
2,モルタル+汚れ、劣化、軒先破損
3,スチール手摺+サビ
4,蛍光灯(外部用)+サビ、取り外し跡
5,看板(照明付きサイン)+看板取り外し跡
6,ラワンベニヤ(出入り口封鎖)
7,電線
バスターミナルビルは独特な雰囲気があります。かつて、まだ、自家用車があまり普及していなかった頃、バスターミナルは地方交通の拠点として、多くの人々が利用していました。自家用車の普及により需要が減少し、今ではこのような姿のバスターミナルを多々みることができます。地方のバスターミナルは時代表現の象徴的建物の一つともいえそうです。各地方都市には、建て替えることは拒否されているが、取り壊しもできない、取り残された多くの熟成したした昭和モダニズム的バスターミナルが、残存しているようです。
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「西肥バス・松浦ターミナル」「松浦バスセンター」 → ウィキペディア「松浦バスセンター」
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長崎県松浦市-04:昭和モダニズムRC集合住宅-再生A
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