廃虚防止法が本当に施行される時代になりました。 – 02

5月 8th, 2012

■「放棄建築物(空き家)の老朽化レベル」(「廃墟レベル」)の提案 - ラフスケッチ

❍ 全国で”空き家”問題が無視できない時代になってきました。
土地・建物は、たとえ私的所有物であっても、一定範囲内で公共的な責任もあることを一般常識的に認識た上で、所有者(管理者)が周辺環境を悪化させない程度、維持管理責任を果たさなければならない、ということです。

例えば、”家電リサイクル法”と同様に、新築時にある程度、解体・リサイクル費を負担させるような法律ができるかもしれません。
”空き家”を廃墟としないために、リノベーション・コンバージョン等で再利用、もしくは、建物解体、土地の再利用など、どのような取り組み、政策、制度を作っていけば良いのでしょうか。

■ まずは、老朽化の程度で分類を行えるようにしようと思い、「放棄建築物の老朽化レベル」(「廃墟レベル」)を考えてみました。

Level.Ⅰ:管理放棄状態初期 ”空き家”があるなあと感じる程度
   外部から見て、長期にわたり管理が無い状態がわかり、建物の傷みが始まっているのがわかる状態。
   外部の窓、壁は埃で覆われた状態。庭がある場合は、雑草がボウボウ。
   屋根、壁共に防水、止水機能は保っている。
   ガラスなど割れておらず、建具も基本的な性能を保っている。
   居住空間としての気密性・水密性は未だ保っている。掃除をすれば、すぐにでも住むことができる。

Level.Ⅱ:雨漏り状態 ”廃屋”ちゃんと管理して欲しいと感じる程度
   防水、止水が破られた状態。(多湿な日本では雨漏りが始まると一気に老朽化が進む。)
   屋根、壁、窓などから雨漏りが始まり、内装部材にも傷みが出る。
   雨漏り部分を補修すれば、充分に室内の利用に供する。
   居住空間としての気密性・水密性が破られた状態。

Level.Ⅲ:崩壊初期  ”廃墟Ⅰ”と認識され始める状態。環境悪化が認められ管理を強制したいと思わせる状態。
   雨漏り状態が続き、屋根や壁の一部が壊れ始める。
   自然に建具が壊れる、もしくは(時には故意的に)窓ガラスが破られ、雨が室内に入り込んだ状態のまま放置。
   室内が、一部外部と同様の環境になってきている状態。
   構造の傷みは補修程度で直せる程度で、大規模改修を行えば、室内の利用に供する。
   物件によってはツタが絡まり、庭がある場合は、雑草がボウボウで入り込むのも大変。
   動物が入り込み荒らされている。廃墟と認識され、不法侵入も見受けられる。

Level.Ⅳ:崩壊中程度  ”廃墟Ⅱ”
   屋根・壁に穴が空き、雨風が常時降り込む状態。
   構造部分に傷みが出始める。
   大規模改修のレベルでは対応できず。構造体からの改修・補修の検討が必要。
   室内の内装もほぼ崩壊。
   時には植物が覆い初め環境化し始める。

Level.Ⅴ:崩壊終盤  ”廃墟Ⅲ”
   建物が崩れ落ちてきた状態。
   構造的にも危険な状態。
   もう解体しかないと思わせる状態。
   外部と同環境。時には植物に覆われたり、動物が入り込んだりして、忘れされてしまうという状態もある。

”廃墟”は、周辺環境を悪化させ、周辺住民に迷惑をかけるものですが、反対に、人をひきつける面もあります。
いったい”廃墟”の何が問題で、何が惹きつける魅力となっているのでしょうか・・・
 
 
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廃虚防止法が本当に施行される時代になりました。

5月 2nd, 2012

■ ”床あまり”時代、それは、恐ろしいことに、”床”(=住居)が足りないから新しく建てる時代が終焉を迎えようとしている、ということです。

日本の総人口は2006-2007年頃を頂点に減少時代に突入。
”SQ”かかわり”の知能指数”によると少子化対策の最後のチャンスを逃してしまったとのこと。それは、第二次ベビーブーマー世代の一番下が35歳をこえてしまった2008年ころまでに対策が打てず、出生率を上げることができなかったということです。消費税よりも、社会保障制度改革よりも、最初にやらなければならなかったのは、”少子化対策”だったようです。なぜなら、考えてみれば上記の改革の前提条件になるのが人口動向だからです。
もしかすると超高層マンションが、超高層オフィスビルが、まるまる廃墟と化すかもしれない、それだけではなく、限界集落問題もでてきている現在、ひとつの街が廃墟となるかもしれません。買物、医療、教育・・・難民問題はいたるところで問題化しそうです。

全国の空き家:2008年757万戸、(10年で180万戸増加)「2012年4月8日朝日新聞デジタル」
総務省調べ2008年10月時点首都圏1都3県の空き家:185万戸5年間で20万戸増加(12%)「2012年2月11日日本経済新聞電子版」

■ 廃墟となった建物をどのように処理し、使われなくなった土地をどのように利用してゆくのかが問題になってきている都市では条例の制定がすすんでいます。

❍ 2010年(H22)10月:埼玉県所沢市 ― ”所沢市空き家等の適正管理に関する条例”

主な内容 ・空き家等の所有者の責務(空き家等の適正管理)
・実態調査及び適正管理措置
・助言、指導、勧告、命令、公表
・警察その他関係機関との連携 など

 

❍ 2012年(H24)年1月1日:和歌山県 ― ”景観支障防止条例”

主な内容 ・廃虚にさせないための最低条件
     所有者の責務として維持保全、景観支障状態にならにように状態規制を最低限の規範として規定
・周辺住民からの要請に基づく命令
     要請→勧告→命令→行政代執行可能

 

全国で、空き家対策条例(=廃墟防止法)を制定した自治体は、16都道府県31市町村(和歌山県は県が制定)「2012年4月8日朝日新聞デジタル」
 
❍ これらの条例は、”土地”や”建物”などの不動産は、たとえ私的所有物であっても、周辺環境を構成する要素として大きな影響力を持っているので、公共的な責務を負うことを社会のルールにしようというものです。
今や、”土地”や”建物”が私的所有物であっても、維持管理責任を果たさなければならない時代になってきました。もしかすると、家電リサイクル法のように、解体・廃棄料金を所有者に事前に負担させるような法律ができるかもしれません。
 
”空き地・空き家等外部不経済対策について” ―国土交通省の資料もありました。

国土交通省の資料による外部不経済土地利用例

1,”空き地”、”空き家”、”廃屋・廃虚等 → 高齢化等により所有者が利用管理できない(しない)
2,”耕作放棄地”、”手入れの行われていない山林” → 農林業の人手不足、不採算性
3,”資材置き場”、”残土置き場”、”廃棄物置き場(不許可)” → 管理者の管理不足
4,”ゴミ屋敷”

 

発生要因

1,人口減少・少子高齢化による需要変化
2,所有者の経済的事情
3,過疎化
4,相続による権利関係の複雑化
5,複雑な関係法令等 など

 

国土交通省の資料には”外部不経済”と表現されています。
*外部不経済
→ある経済主体の行動が、その費用の支払いや補償を行うことなく、他の経済主体に対して不利益や損失を及ぼすこと。例えば、公害。とのこと。
 
 
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コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-竣工写真-14

4月 29th, 2012

■ コーポラティブヴィレッジ春日原南町―8街区:”MO:2F-書斎”


↑ 2F:書斎3畳。

住宅全体の床面積などからみて、なかなか書斎スペースをとるのは難しい状況ですが、旦那さんのこだわりと奥様の理解のバランスがとれた時、書斎が実現します。広さはそれほど問題ではなく、自分の空間があるかどうかが重要です。
 
 
コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-「なないろガーデン」
>> 8街区:E区画:MO邸
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>>完成までのストーリー
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> 02 – 設計:ラフプラン -2011年5月
> 01 – 設計開始 -2011年4月
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「コーポラティブヴィレッジ春日原南町Ⅷ街区」
福岡県春日市春日原南町
全7戸中、3戸設計

プロジェクトメンバー
コーディネート:(株)エス・コンセプト
土地媒介:九電不動産(株)
全体計画:(株)建築デザイン工房
住戸設計:信濃設計研究所 信濃康博、その他3名
施工:(株)斉藤工務店

 

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コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-竣工写真-13

4月 27th, 2012

■ コーポラティブヴィレッジ春日原南町―8街区:”MO:1F-玄関”


↑ 玄関
 
コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-「なないろガーデン」
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コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-竣工写真-12

4月 26th, 2012

■ コーポラティブヴィレッジ春日原南町―8街区:”MO:1F-LDK-4”


↑ キッチン
シンク下はオープン。ステンレスのキッチンカウンター奥の立ち上がりを標準よりも高くしています。
オール電化住宅なのでIH。


↑ ダイニング

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住戸設計:信濃設計研究所 信濃康博、その他3名
施工:(株)斉藤工務店

 

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“同潤会”について調べてみました。(「Re1920記憶」in福岡に便乗)

4月 24th, 2012

「Re1920記憶」in 福岡 が5月5日から7日まで”冷泉荘”で行われます。
これに便乗して”同潤会”について(簡単ですが)自分なりに調べなおしてみました。
それは”大震災後の復興”という共通点があるからです。

1923年(大正12年)9月1日:関東大震災 → 1924年(大正13年)5月 ”同潤会”設立
89年後の2012年、現在の日本と同様、”震災後の復興”が一つの大きな目的でした。


↑ 昨年”アサヒグラフ特別号”として出版された”関東大震災”と”昭和三陸大津波”をまとめた”アサヒグラフ復刻版”です。
1923年(大正12年)関東大震災と1933年(昭和8年)昭和三陸地震と大津波を伝える、当時出版されたアサヒグラフ特別号と臨時増刊から編成。
(昭和三陸大津波では、78年後の「3.11」とそっくりな写真が掲載されています。)


↑ 左:”焦土と化した横浜(写真上)と東京(写真下)” 右:”復興の努力を示すバラック建築”

↑ 将来の我建築 ―竹内六蔵
火災に対する木造建築の危険性と、耐震性と耐火性を備えた建築=鉄筋コンクリート造の建物の必要性などが指摘されています。

関東大震災26日後、9月27日に”帝都復興院”が、内務大臣・後藤新平総裁のもと設置されました。
当初40億円に達する膨大な復興計画がたてられましたが、地主たちの反対などもあり、結局実現せず、復興事業も4.7億に縮小されたそうです。

■ ”同潤会”は震災義損金の残額1000万を基金として財団法人として設立されました。
1923年(大正12年)9月1日 関東大震災
1924年(大正13年)5月 ”同潤会”設立

設立当初の目的は次の3項目でした。
1.住宅の経営
2.障害廃疾者収容所ならびに授産場の経営
3.その他震災救護に必要な施設をなす

1941年(昭和16年)住宅営団に吸収されるまでの18年間活動。
耐震耐火の集合住宅・RC造アパートは18年間で東京13カ所横浜方面2カ所合計2492戸。
最良質の不燃積層集合住宅を初めて首都圏に大量供給。
RC造アパートが有名ですが、じつは、木造平屋建長屋住宅、”普通住宅”の団地=木造連戸建住宅(賃貸)、分譲住宅などもつくっていました。

■”同潤会”の役割を自分なりにまとめました
震災復興対策としての耐震・耐火建築の推進 → 実際には”木造”アパートが流行(今も昔も”予算”の障壁が大きい)
都市の人口急増による不良住宅地区の改良対策 → 住宅難解決と生活改善
アパートネントという重層集合住宅(都市型集合住宅)の提案・定着化 → 中間知識層に経験させる
”アパートネント建築仕様・技術仕様”の提案 → 日本のアパートネント仕様の基礎
”アパートネントライフスタイル”の提案 → 「和洋折衷式」に落ち着く。住宅改良思想の具体化。
*この時はまだ”食寝分離”の解決策であるDK(ダイニングキッチン)は発明されていない。

■”同潤会アパート”の払い下げ
GHQの政策により、”同潤会アパート”は払い下げ。
当時、建物区分所有法がなく、アパートごとに独自の管理体制をつくったとのこと。
修繕程度・老朽化の程度が異なるのはこのへんの理由からのようです。

■日本の鉄筋コンクリート造のアパートメント
1910年(明治43年):”三井同族アパート”
1918年(大正07年):”グラバーハウス”軍艦島30号館
1925年(大正14年):”お茶の水・文化アパート”
1926年(昭和01年):”同潤会・中之郷アパートメント”(青山、柳島、渋谷)

■当時の生活
ラジオ放送1925年(大正14年)
レコード1928年(昭和3年)
千軒長屋・トンネル長屋・乞食長屋が全国各地に点在。
半畳に一人の割合、ランプ、種油、ろうそくすらない者もあった。

■ 「Re1920記憶」in福岡
日程:2012年5月5日(土)〜7日(月)
時間:
5月5日(土)15:00-21:00
5月6日(日)11:00-20:00
5月7日(月)11:00-20:00
場所 :リノベーションミュージアム冷泉荘
B14,15「2コ1多目的スペース」
http://www.reizensou.com/
住所 :福岡県福岡市博多区上川端9-35
電話 :092-985-4562(冷泉荘事務局)
入場料:無料
ホームページ:http://kioku.info/re1920/
フェイスブック:http://www.facebook.com/events/360510840667426/

*これは見逃せない
5月5日(土)16時:冷泉荘:オープニングイベント「リノベ女子トーク」いしまるあきこ×芳澤瞳×鬼塚玲美

■参考図書


↑ 同潤会、特に”江戸川アパートメント”について詳しく書かれている本


↑ 1916年軍艦島30号館”グラバーハウス”から昭和60年代までの”マンション(集合住宅)の歴史”が書かれています。


↑ 原始時代の竪穴式住居から20世紀後半までの日本住宅史。
ものすごい濃密な一冊。


↑ 大正・昭和の民家研究。当時の生活状況がスケッチで活き活きと描かれています。
 
 
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コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-竣工写真-11

4月 23rd, 2012

■ コーポラティブヴィレッジ春日原南町―8街区:”MO:1F-LDK-3”


MO邸
1F:畳敷きのリビングとダイニング.
左側:3枚障子全開できます。正面壁の2枚の棚はTV台とAV機器用棚。
中央の引戸を開けると玄関へ、右側の引戸を開けると階段。
写真右側にキッチンがあります。

 
コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-「なないろガーデン」
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福岡県春日市春日原南町
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プロジェクトメンバー
コーディネート:(株)エス・コンセプト
土地媒介:九電不動産(株)
全体計画:(株)建築デザイン工房
住戸設計:信濃設計研究所 信濃康博、その他3名
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コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-竣工写真-10

4月 21st, 2012

■ コーポラティブヴィレッジ春日原南町―8街区:”MO:1F-LDK-2”


MO邸
1F:ダイニング.
左側の引戸を開けると玄関へ、右側の引戸を開けると階段。

コーポラティブヴィレッジ春日原南町-8街区-「なないろガーデン」
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