■ 山王-502号室-

 

 

プロジェクトメンバー

山王マンション/リノベーション/1期
ビル所有:吉原住宅㈱
企画 / 運営:㈱スペースRデザイン
設計:信濃設計研究所/nano Architects
施工:㈱プライム建設

概要

敷地住所:福岡県福岡市博多区博多駅南4-19-5
主要用途:1F テナント、2F〜6F 賃貸マンション
主要構造:RC造6階建(1967年竣工)
延床面積:502号室 35平米
リノベ竣工:2004年8月

「古梁」
山王マンション リノベーション 1期

2004年より参加させていただきました、築40年を超える「山王マンション」をリノベーションにより再生させるプロジェクト第1期。 603号室/402号室:「CQ」と、502号室:「古梁」の、合計3室をデザインさせて頂きました。 「リノベーションとは何か?」について考え始めた原点となる思い出深いリノベーションルーム3室です。

 

古材の存在感

603/402号室の69/70年的未来というテーマに対し、502号室では、「和」アイテムで構成したデザインにしています。古材の梁3本、欄間、竹などを活用したのですが、ここで、予想以上に、空間全体を、圧倒的な存在感で支配してしまったのが「古材の梁」つまり「古梁」です。
古梁は、色が黒光りし、所々にある深く大きな割れと、無数に入った細かい割れ、水分がすっかり抜けて乾燥した肌理・・・生きてきた時間の長さがにじみ出ています。木は、経過時間によって変化していく素材です。よって生きてきた時間の長さによってのみつくることができる存在感というものが出てきます。

 

照明組み込み収納ベンチ

もともとは畳敷きの和風の部屋で、窓際下部には”地袋”(収納)があり、アルミサッシ部分には”障子”が設置してありました。その雰囲気を踏襲したくて、このような曲面をいかしたベンチを作成しました。
ベンチ上部のフタを取ると収納になっており、曲面壁部分には照明を組み込みました。
手摺は”竹”。障子のかわりに藍色のパネルカーテンを設置しています。

建具

建具は、格子引戸を製作し和風に仕上げました。
トイレのドアも格子ドアにしています。

 

プラン

もとは、畳敷き和風の個室が2室ある2DKの間取りでした。
2つの個室の間仕切り壁を半分取り除き、1室としました。残った壁には3つの四角の穴を開けています。
上部に「古梁」を3本取付けて、フスマを格子引戸に取替えました。
畳は取り外し、自然塗料仕上げの杉の無垢フローリングに張り替えています。

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この部屋502号室は、「素材の力」というもの知った思い出深い作品です。
長い年月を生き抜いてきた「古木」は想像以上の存在感を示し、部屋の雰囲気を支配していました。ここを見学された方々は、それを敏感に感じ取り、この部屋の雰囲気に酔いしれていました。「木」という素材は、時間の経過によって、徐々に熟成されていく素材なのです。一度役目を終え、古材として倉庫に眠っていた野性味溢れるこの「古梁」は、まだまだ役目を終えることなく、この部屋を魅力あるものにしてくれています。

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